どこまでも澄み渡った秋晴れのよき日に、かくも晴れやかな華燭の典にお招きいただきまして、ありがとうございます。
新郎新婦はもとより、ご両家のご両親、ご親族の皆様方のお喜びはいかほどかとお察し申し上げます。
ご紹介いただきました、株式会社ミヤマの佐藤宏一と申します。
私どもの工場では、家庭用品の製造をしておりますが、新郎広田君は、その生産ラインの主任という重責を担っておられる、優秀なスタッフでございます。
家庭用品業界はまさに日進月歩、めまぐるしく新製品の開発競争が行われておりまして、研究開発部門はもとより、全ての社員一人一人の創意工夫と熱意がカギでございます。
広田君は発明考案を趣味とする創意工夫の人でありまして、まさにわが社の求める前途有為の人材であります。
かつて、広田君が入社する時の入社試験に、明治時代に行われた「第一回発明賞」台所部門の第一位は何か、というのが出題されたのですが、正
解者はたった一人だけでした。
それが広田君だったのです。
ところで皆様方、それは何だとお思いですか。
じつは、あの「まな板」
なのです。
当時はまだわずかしか応募はありませんでしたが、一位には金杯と副賞百円が贈られ、注目されました。
当時、東京の一軒家の家賃が五円から七円が相場でしたから、百円は今では数百万円に当たる大金でした。
まな板は誰でもが考えそうで、誰も思いつかなかった"コロンブスの卵"のようなものです。
また、単純とは言いながら、使い道は無限にあります。
何よりも、あたたかい家庭がある限り使用される傑作です。
広田君はこの発想を、常にご自分の創造の手本とされているそうでございます。
広田君は個人的にも実用新案などのパテントをいくつも保持され、社内で行われている提案制度での提案の数は、何度も一位に輝いたほどです。
その広田君が、今日から新品のまな板をそろえて、新しい家庭をお持ちになります。
これからは、才気あふれる新婦好子さんの内助よろしきを得て、さぞや斬新で創意に満ちたご家庭が創造されることでしょう。
今から楽しみでございます。
とりとめのないお話になりましたが、これを持ちまして私のお祝いの言葉に代えさせていただきます。国際結婚
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