2011年3月アーカイブ

地理的歴史的に日本と深いつながりのある韓国(大韓民国)については、在日韓国人も多く、ある範囲での日本法の保護もあり、比較的行政窓口も慣れているので、配偶者の本国法としては目にはいりやすいものです。

しかし法の細かい点の解釈となると、行政窓口(役所)の人が、勉強不足だったりすると、細かな点でまちがいが起こりやすいものです。

それに、在日韓国・朝鮮人が多いといっても、日本の総人口と比べれば少ないですし、日本人と結婚する人は、各地域に広がっているわけですから、作業に不慣れなためのミスがあることも否めません。

しかし、こういった単純ミスは、気がつけば、訂正してくれるものです。

しかし気がつかないままで係員が異動したりすると、非常な時間と忍耐と知識と強力なバックアップがないと訂正は容易ではありません。

日本で婚姻届を出し、それが受理されない場合は、不受理証明書を発行してもらい、なぜ不受理になったかを明らかにしておくことが大事です。

書類不足にしろ、窓口の判断の誤りにしろ、後日訂正するのに便利です。

また戸籍届出の窓口には必ず参考図書が完備されておりますので、必ず条文通達などにより窓口の方の発言の裏付けをとる必要があります。
婚姻要件具備証明書は各国の官憲が発行し、その証明により当事者が自ら証するのですが、官憲といっても国によって違います。ある国では警察署長だったり、ある国では牧師だったりします。

国によって制度、風俗、習慣が違うのですから、大使館などの在日公館に行っても、婚姻要件具備証明書がもらえないかもしれません。

日本では宣誓書、申述書、婚姻証明書などを婚姻要件具備証明書に代わるものとして取り扱って、差し支えないとされています。

その例をあげますと、

1.在日ポルトガル男性と日本女性とが日本でポルトガル国の方式により婚姻し、婚姻に関する同国領事の証明書を添付して、市区町村長に婚姻の届出があったとき(1953年)

2.パキスタン男性と日本女性との婚姻届に、東京回教寺院長の発給した両人の結婚証明書、同パキスタン人の作成した申述書と外国人登録済証明書が添付されて提出されたとき(1967年)

3.アメリカ男性と日本女性がベトナム国駐在米国大使館で領事婚をなし、その婚姻証明書の写しを添付して妻の本籍地市長に婚姻届がなされたとき(1977年)

申述書は、どうしても婚姻要件具備証明書または婚姻要件を具備している書面が得られないときに、その理由などを書いて提出する書面です。

申述書と身分関係を証明するパスポート、外国人登録済証明書などにより、要件具備が審査されます。

1965年に戦前に有していた日本国籍を戦後失った朝鮮人や台湾人だけに申述書の提出が認められましたが、その後、中国人にも認められることになりました。

今ではほかの外国人にも認められる場合もあります。
日本人と外国人が日本で婚姻届を出す場合、日本の方式で出さなければなりません。

ただしアメリカで結婚するならアメリカの方式で、イギリスならイギリスの方式でとあります。

つまり結婚する国の方式に従います。

日本の方式とは、民法739条、戸籍法25条、74条による婚姻届を出せばよいのです。

届出によってはじめて婚姻が成立する創設的届出です。

日本人は戸籍謄本を提出すればよいのですが、配偶者になる外国人は、その国の法律に従った婚姻要件を備えた証明書が必要です。

外国人が日本で婚姻届を出す場合、次のものが必要です。

1.国籍証明書(パスポート、国籍記載のある出生証明書など

2.外国人登録証明書(カード)

3.登録者原票記載事項証明書

4.在日公館発行の婚姻要件具備証明書(外国語で書かれている場合訳文が必要です。翻訳者は申請人本人でも構いません)

5.申述書や宣誓供述書

6.相手が韓国・朝鮮、台湾出身の場合は戸籍謄本

パスポート、登録者原票記載事項証明書、戸籍謄本などは外国人の身分関係を証明する書面です。

そのほかに、婚姻が成立するための実質的要件を備えている証明書が必要です。

7.婚姻要件具備証明書とそれに代わる証明書